短歌 2025.02 – 2025.07

伏線を回収しないままどっか行った思わせぶりな運命

吐く息は誰も等しく白くなる 生きることとは熱を持つこと

虹色のLEDに照らされて海の青さは知らないくらげ

心音にディストーションをかけてみる どうせ長生きするんでしょうね

工場で作られた飴でも君がくれたからまだ仕舞ってあるよ

恨むのも嘘をつくのもお手のもの あなたも僕もどうせ人だよ

さいごまで選ばれずとも君のこと好きなわたしのままで死にたい

さよならはいつでもできる まだ傍に居させて 誰かの代わりでもいい

身体だけでも愛してよ 中身には価値がないことなんてわかってる

壊れたらどうしようって泣かないで 壊れたときに泣けばいいだけ

この本はもう閉じようね さよならをバッドエンドの手前に挟む

皮膚越しに骨の形を確かめるように抱きあうふたつのいのち

花束に埋もれるよりも売りものにならないままで見つけてほしい

「、」読点のつもりで言ったさよならを君は「。」句点に変えてしまった

ジブンではなくて虚構のニンゲンのハッピーエンドに金を注ぎ込む

約束を破られるのは嫌だから誰ともなにも約束しない

君だけが会いたい人で愛したい人で愛されたかった人だ

乾涸びるまで泣いたってわたしたちドライフラワーなんかなれない

狭すぎる心はみ出す 好き 目から溢れて流れて乾いてしまう