短歌 2023.03

何もかもここにはあって何もかもここにはなくて過去も未来も?
いつかまたサナギがいたらゆっくりと握り潰してそして泣きたい
お互いにまだ片想いしてるかのよう付きあってもうすぐ半年
桜がもしも散らない命だったなら誰も見向きはしなかったでしょう
僕だって明日死んでも構わない満たされすぎた世界用済み
絶望を希望に変えてもらうのをただ待っている罰をください
僕はただ「死にたい」だけを言うために宙に吐き出す二酸化炭素
長続きしない感情ばっかりの両目がなぜか涙を流す
出逢ったらいつか別れる日が来ると知っているから抱きしめさせて
赤い血の似合うあなたに憧れて本能なんて飽きてしまった
からっぽのまま生きるのも悪くないとか言いながら愛を欲しがる
がまんして僕はあなたをどうしても好きなんだから ねえ がまんして
あれがもうラストなんだと思ってたどうして僕はまだ生きてるの
君にもし羽があったらわたしから逃げないように千切ってあげる
この先に精神病が待っていることも知らずにワーカホリック
この先にあなたがいてもいなくてもあなたに逢いたいから歩くだけ
「いつかまた逢えたらいいね」そう言ってどうして君は空へ落ちたの
身代わりにたくさん濡れてくれたよね君の涙も混じってたんだよね
「そうやって後ろばっかり見るなよ」と言われてもこれ僕の「前」です
突っ立って前頭葉に忘れ咲く花の雌蕊を引き抜いてみる
午前二時五十七分夜が明ける前のお菓子は睡眠薬
春までに咲いてしまって春までに散ってしまった桜みたいな、
ほのめかせきっと救えやしないだろうからその声を聴いておきたい
気の狂れた僕が残した足跡を踏むのはきっとあなたではない
無には無という名が有ってほんとうの「 」(無)を僕たちは知らないままだ
君のもう最後の日々に新しい傘をさすんだ閉じたまんまで
「さよなら」の類義語だけで一冊の重たい本ができたよあげる
星の数ほどとあなたは言うけれどわたしの空に星は少ない
さんざんに苦しんできたのもきっとあなたと出逢う伏線だった
歪んでいますけれど歪んで歪んでと繰りかえしたら正常になれる?
歪んでも歪んでもまだ傍にいてそしてあなたを歪めてあげる
防腐剤入れても一分後に腐るわたしからうまれる言葉なんて
わかりあうことができないかまわないいやそのほうがきっとしあわせ
憂鬱をメランコリーと言いかえただけでいい気にならないでよね