短歌 2025.08 – 09

君が好き 今更なにをされたってされなくたって嫌えないほど

まだ祈り続けてしまう 神様の役目を終えて憩むあなたに

スイカってどこまで食べる? あなたにはどこまでだったら近づいていい?

遠いから美しい星 もしもこの手が届いたら燃えてしまうよ

貴賤などあるのでしょうか 誰だってうまれて生きて死んでおしまい

壊れたい けどそれよりも君の手で壊されたいよ はやく触れてよ

届かない手でよかったな さよならにいちばん近い場所で待ってる

傘のない土砂降りの中 泣いたって許してくれるような気がした

乾かない涙などない またすぐに泣いたとしてもまた乾くから、

向かい風来たらたまには休んでね あなたの風見鶏になるから

目が覚めたけれどもここがリアルって証拠もないし二度寝しますね

透明なわたしに色をくれるならどんな嫌いな色でもいいよ

なれたってよくて七等星だろうけれど君なら見つけてくれる

凸凹な日々を平らにならしたい それがいいかはわからないけど

君とならオちてゆけると思ってた なのに君はもう遥か頭上

傷つけてくれるだけまだマシだった きみの世界に僕はもう居ない

感情のどれもが毒を帯びてきてわたしの中ではじまる蠱毒

もう一度会いたい 怖い さよならの代わりになんて言えばよかった?

失ってはじめて気づく僕たちはきっとそろそろ 《空っぽ》になる

愛せない? それともわたしを愛さない? どっち? 教えてほしい ……やっぱヤダ

血管をひろげたように曼珠沙華 わたしを見てよ 葉は捨てたから

いつまでもあなたの傍にいたかった 寂しいままのふたりでもいい

大切な人の近くにいなければ大切な人を傷つけず済む

注射針は刺すときよりも抜くときが はじまりよりもおわりが 痛い

くだらない話しかしていないのに帰る素振りを見せないふたり

窓もない天井もない床もない狭くて暗い夜という部屋