少女は歩いた
太陽が絵の具を投げ出して
リアリストが描いた空の下なのに
心からの微笑み
なんてものが転がる最近
この辺りは詐欺師がたむろしているから
嘘で体を塗り固めておくんだよ
大丈夫?
と聞かれれば
無理に笑みを作って答える
ダイジョウブ
君が抱いているのはただの
愛されているという被害妄想
少女は歩いた
暗い空の下なら暗く
狭い壁の間なら肩を狭め
心からの微笑み
なんてものがあると信じている最近
この先には偽善者が群れをなしているから
悪意で瞳を覆い隠しておくんだよ
記憶をあさって思い出すのは
薄汚れた肌に触れた無骨な指
肩をかすめた温度のない掌
シアワセ
君が抱いているのはただの
愛されているという被害妄想
少女は歩いた
リアリストが筆を折り捨てて
誰も描かなかった空の下なのに
喜びを感じることが
裁かれぬ罪
なんてものになった最近
この下には誰かの心が埋もれているから
しっかり踏み砕いておくんだよ
涙を懸命に隠しながら
自分の息の根を絶やそうとしている
君が抱いているのはただの
愛されているという被害妄想