白百合のはらわた
花屋の前を通った
わたしの皮膚が掴みとった
饐えた香り
甘いような酸っぱいような
不愉快な香り
花屋からいくつかの花の入ったバケツが
飛びだしているのは
死んだ動物のはらわたが
飛びだしているみたい
こんな醜いものを
美しいと呼べるひとが
わたしを置いていってしまうんだ
白百合のはらわたに噎せながら
わたしはそれをお金で買った
不愉快な香りを腕に抱いて
知らない人の所へ行かなくちゃ
こんな美しいものを
醜いと呼んでしまうわたしを
みんなが置いていってしまうんだ