もう 死体

もうちょっとで蝶々 捕まえられた
あのいっときの迷いが
蝶々を逃がした
この手の中であの子が
ぐちゃぐちゃになることに
何のためらいさえ抱かなければ
今頃 あの子はこの手の中にいたのに

でも手に入ったと思ったら
もう 死体

鱗粉まみれのてのひらを思い浮かべて
それを体中に塗りたくれば
君も 飛べないかな

飛べる 飛べる 飛べる
だって今ほら学校の屋上にいるんだ

そのいっときの迷いがなければ
あのコンクリートの上で君が
ぐちゃぐちゃになることに
何のためらいさえ抱かなければ
今頃 君は望みが叶っていたのに

でも手に入ったと思ったら
もう 死体

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