さよならを売り歩く少女

日付がゆっくりと変わるまちで
少女はひとり手を振りつづける

通りすぎてゆく生き物は
誰もがみんなそしらぬ顔して
カレンダーをめくる指は見えない
時刻をあわせる指は見えない
次のまちへと道を辿れば
崩れた青空のすきまに雨がふくれる

日付が二度と変わらないひとが
息のない目で少女を見つめる


「それは僕が欲しかったものです」

少女はひとり手を振りつづける
売れ残ったさよならを墓地にばらまいて
少女はひとり手を振りつづける