無知な鶏

冷たくなった僕の左手を
彼女は優しく握りしめてくれる
まるで無精卵を温めつづける
無知な鶏みたいだ

口の中で音を立てて噛み砕きながら
ごめんなさいって何回も
感情をなくした塊に許しを乞う
まるで他の言葉を知らない
出来損ないのロボットみたいだ

さよならを言う時間だよ
僕はただ黙って聞いているから
好きなだけ泣き叫べばいいだろう

僕がこんなに幸せなことを
どうして誰もわかってくれないんだろう

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