白く濁った肉をお食べ
黒く濁った血をお飲み
そうやってあなた
生きてゆくのでしょう
そうやってあなた
死んでゆくのでしょう
でもあなたの体なんて誰も食べない
「いただきます」
誰に言っているのかしら
きっと誰にも届いていないでしょう
その合わせた掌と掌の隙間に
一体何が詰まっているのかしら
光を受けた黒い革表紙
闇を包んだ毛皮のマフラー
そうやってあなた
生きることを楽しんでいるつもりでしょう
そうやってあなた
結局は虚無感に襲われるのでしょう
でもあなたの体はただ墓に眠る
どんな命も値段を付けられているみたい
店の棚に並べられた彼らは
もう悲しみさえ抱けない
それをあなたは幸福と呼ぶのかしら
幼子は蟻を踏みつけて笑う
大人は蚊を叩きつぶして笑う
そしてあなたは
それをじっと見ているのでしょう
大丈夫
あなたはつぶされたりしないもの
きっとこれから
何年も
何十年も
生き続けるのでしょうね
あなたはそれを不幸と呼ぶのかしら