短歌 2023.06

足せる線なんてどこにもないでしょうわたしが辛いのだから辛い
ふたりにはたりないふたりひととしてかけているからたりないふたり
新しい感情ひとつ僕だけのためにつくって辞書に書きたす
ひとりでは息ができない夜がある かなしいほどにあなたが好きだ
結論をいつもはじめに持ってくる君が最後に言ったのは嘘
二番目になりたいでしょうハジメテの相手は少し荷が重いから
「なくしても願いは叶う?」ミサンガを信じているの? 僕を信じてよ。
スープから奪った熱を捨てるのにちょうどよかった零時零分
100個から何も選べず立ち尽くすレールがあった方が幸せ
言葉では表せないという言葉ばかり集めるような日々だね
拵えたばかりの顔をすぐ洗うどうめかしても気に食わないな
いつまでも会わないためだ信号が青になっても渡らない道
君が吊るために垂らしたロープこれ蝶のかたちに結んでおくね
傾いた地軸のせいか夏至の来る前にたくさん死んでしまった
心音は電話越しには聴こえないはやく会いたい耳をあてたい
いつになれば気づいてくれる? 鼓動などとうの昔にやめていますよ。
嗚呼それはそれはさぞかし辛かつたでせうと汝《なれ》の他人事《ひとごと》のごと
募らせてしまったものはしかたなく鎮まる日をひとり待つだけ
弱い犬ほどよく吠えると言いますが程良くってどれぐらいでしょうか
また傷を見せびらかしているあの子にはもっと癒えない秘密があった
片方の眼窩をからにして君の利き目を入れて君を眺めたい
化けのカワ剥がせば靴はなくなって出てくるはずの足もなかった
この長いメモを目で追う元気などない書き置きは一言にしろ
おせっかいですね「記」だけを打ったのに「以上」もちゃんと打てるんですけど
一瞬を一年間に伸ばすような線香花火 つるませてみる
句読。。。点、の位置なん、てどこだっ、。ていい君には伝わ。るはずだか、らねえ、、、
あの子より早く貴方に出逢っても叶わないなら出逢わないでよ
もう飽きた君の話しを聞かされてそれでも君を嫌えやしない
代わりにもなれない僕に代わりなど誰もなれないあなたが わらう
死ぬことを許してくれる人がいて生きてゆけると思える皮肉
気が狂うほどの青空もう僕の影はいらない影になりたい
探すこと諦めていたペアリングあった三角コーナーの底