短歌 2024.06

愛される資格がないと言っとけばあなたの愛を受け取らずに済む

わたくしをわたくしとして扱ってくださるのならお慕いします

君のことなど何一つ解らないわたしの何が君に解るの

緩やかに落ちて行ったし速やかに昇って来たの元のわたしへ

くたばれよ君に愛されないわたしわたしを愛さない君なんて

雨音がゆっくり脳に染み込んで濡れた両目を拭う手はない

大好きな人に抱きしめられながらやっぱり僕は寂しがってた

死ぬ前にもしひとつだけ叶うなら君の幸せ願ってもいい?

感情を使い果たして機械ほど聞き分けもない半端な命

ふたりとも寂しがりやでお互いの寂しさという穴におちてく

大好きな人のためならなんだって出来る気がした気のせいだった

愛してもしょうがなかった この夜をひとりっきりで越えてゆきたい

さよならを無駄遣いした ほんとうはあなたの傍に居てもよかった

アルコールチェックみたいにライクとかラブとかチェックさせてください

雑踏に紛れた私 足踏みで固有名詞をなくしてしまう

さよならにいちいち意味はいらなくてただ足音は遠ざかるだけ

青がもう青であるのをやめたとき少女はやっと泣き飽きていた

真夜中が待ち合わせ場所 夢の中でしかふたりは許しあえない

「好きな人いるけど……」「いいよ。その人を君の中から消してあげるよ」

二本しかない手は君のためだけにあけておきたい 傘はいらない

歩きます会いたい人に会うために地球を少し転がしながら

目が覚めてわたしは今日も生きていた夢の続きを知る術はない

手に少し力を込める 君の手が同じ強さでこたえてくれる