短歌 2024.12 – 2025.01

ぶらんこは空に近づき遠ざかり いちばん遠いところに降りる

ふゆふゆと七度三分に浮かぶ身を懐炉がわりにしてくれないか

次に会う日まで会えない 次に会う日がなかったら二度と会えない

好きじゃない人に好かれてぼろぼろになったわたしに気づいてほしい

心音をメトロノームにした恋が聴きとれなくなるまで速くなる

花びらを厚くするのは死にたいと言うとき吐いた二酸化炭素

咲き方を忘れたフリをしています 水をたくさんもらえるように

いつまでも疼いてほしい傷がある 泣き果てるには夜が足りない

早歩き小走り全力疾走とギアが勝手に上がる 君に着く

どの角を曲がるかなんて行き当たりばったり君に会えやしないし

飛び降りた星が流れて消えてゆく 夜空に浮かぶことに疲れて

この空は君の上でも空だけど晴れているのかどうか知らない

息継ぎを我慢している 溺れない程度に深い夜にもぐって