春になったら
あの子は気付くだろうか
うららかな陽射しを
背中に浴びれば
あの子もわかるだろうか
君はちゃんと春を待てる?
春になったら
あの子は苦しむだろうか
背中を誰かの手に
撫でられれば
あの子も悲しむだろうか
君はちゃんと春を待てる?
春になるまでは
あの子の背骨に挟まれたまま
蛹の中でどろりと揺蕩って
春になるまでは
あの子の背中の皮膚の下に
隠れていることに気付かれないで
春になったら
君がちゃんと羽化したら
あの子は思い出すだろうか
背中から蝶を生やすあの子は
きっと酷く美しくて
君の小さな羽でふわりふわり
ここへやって来てくれるはず