短歌 2025.10 – 11

必要なものだけを買う あの日から欲しいものなど思いつかない

僕にある傷跡に似た生傷が君にあるから触れたくなって、

レコードの廃れた世代だったけどあの人がよく聴かせてくれた

あの人のためじゃなくても生きられるようなわたしになりたくないのに

捨てなくちゃ浮かべないから大切にしていた痛みをそうっと落とす

もう一度会いたい、だけど無理だよね。もしも会えたらわたし泣いちゃう……。

もうきっと会えない人をいつまでも好きでいるのはダメなことかな……

「綺麗だね」 危うく月を探しちゃう脆くみにくいわたしの心

この気持ちが「寂しい」というやつなのか辞書を引いてもよくわからない

見上げれば溺れてしまいそうになる息ができないほどの青空

受け止めてくれないことを知っていてパラシュートなしであなたへ堕ちる

あとはもう枯れるしかない 咲く前のつぼみのほうが綺麗だったね

「美しい人でした」ってもういないあの子のことをいつまで言うの

ターミナルになりたかったの でも君はトランジットで触れてっただけ

赤い血を、白いナミダを、吐きだして。わたしをきみのゴミ箱にして。

跡がつくまで抱きしめて あなたからもらう痛みはきらきらきれい

乾からびて飾られるより水分愛情の過剰摂取で根腐れてたい